PAJメールマガジン

第39号 2012年4月7日発行

日本パラリンピアンズ協会 運営委員 藤田征樹
(北京/自転車)

 

パラサイクリングの藤田と申します。
このたびPAJの運営委員を務めることになりました、

今回はメルマガ執筆の依頼をいただきましたので、自転車競技のご紹介をさせていただきます。

 

私自身は2004年に両足を膝下から切断し、それ以降両足に義足をつけてトライアスロン(健常者に混じって)、障害者自転車競技(パラサイクリング)に取り組んでいます。
パラリンピックは北京大会に参加し、銀2銅1のメダルを獲得することが出来ました。

自転車競技は日本でまだまだマイナーな競技ですが、世界的にはメジャーな競技であり、特にヨーロッパでは文化として馴染んでいるスポーツです。また「ケイリン」は日本発祥の自転車競技として、シドニー大会から正式な五輪種目となりました。

 

障害者自転車競技は、2007年に競技運営がIPCからUCI(国際自転車競技連合)に移管
されました。
現在「パラサイクリング」の名称が世界的に一般化し、自転車競技のひとつのカテゴリとして扱われています。


パラサイクリングでは「ロード競技」「トラック競技」の2競技が実施され、障害クラスは大きく分けて4つの種類に分けられます。

【Cクラス】
通常の競技用自転車を使用。ハンドル、サドル、ペダルに障害に合わせた小改造を施す場合がある。主に運動機能障害、麻痺の選手。障害が重い順にC1~C5の5クラスに分かれる。
【Bクラス】
視覚障害クラス。タンデム(2人乗り)バイクを使用。パイロット(健常者)とストーカ(視覚障害者、機関車の火夫の意)のペア。2人が一緒にペダルを踏むので、個人の競技力に加えてペアの息が合っているかが鍵。
【Hクラス】
三輪のハンドサイクルを使用。H1~H4の4クラス。体幹を使える(両大腿切断など)選手は正座のような体を起こした体勢で乗車し、脊損等の選手は仰向けに寝た体勢で乗車する。
【Tクラス】
トライシクル(競技用三輪車)を使用。二輪車では体のバランスが取れない障害の選手が戦う。

パラのレースに限らず、勝敗は基本的に選手の力量、技術によって決まりますが、周囲の環境(天候、路面、風)、自転車のメカトラブル(パンク、チェーン脱落)、転倒事故がレースの結果を大きく左右します。

 

自転車で走るときに、空気抵抗が最も大きな負担となるため、空気抵抗を分担するための集団走行、ライバル同士の牽制、駆け引き、時には協調をしてレースが行われます。
また様々な「脚質」(ダッシュが得意、登り坂が得意など)の選手が入り混じって競うので、自分の持ち味を考えた作戦が見どころです。

実力+色々な要素が複雑に絡み合って競技が行われるところが、他の競技に無い自転
車競技ならではの面白いポイントだと思います。


競技運営が健常者団体に移管された辺りから、海外勢はプロ化、健常者団体と一緒にトレーニングをするなど、強化体制がかなり進んでいます。

 

他の競技でも見られるように パラのトップ選手が健常者の競技に進出して優勝するなどの活躍をし、特にBクラスでは、北京パラ以降、五輪メダリスト(!)選手がパイロットを務めるなど、強烈に競技レベルが高くなっているのが現状です。

 

日本では、2007年頃から健常者団体との結びつきが強まり、昨年から合同合宿を行うなど強化体制が進みました。
パラチームにとって素晴らしい出来事であり、同時に私たちがもっと歩み寄り、一緒に取り組むことを、健常者選手やスタッフに納得して、理解していただけるように真摯に取り組んでいかないといけません。
競技に対する意識や姿勢等、多くを学ばなければならないと、選手一同で感じているところです。

 

アトランタ、シドニー、アテネ、北京、と連続してメダルを獲得してきましたので、ロンドンでも引き続きメダルを獲得することが私たちの目標です。

また自転車は「生活の足」や「レクリエーション」としても楽しめるものですので、取り組みを通じて、障害があっても自転車に乗れるんだ!ということを伝えられればよいと思います。

 

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