PAJメールマガジン

第22号 2011年7月1日発行

スポーツ基本法制定 ~これからどうなるのか?~

日本パラリンピアンズ協会 会長 河合純一
(バルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネ・北京/水泳)

 

 皆さん、こんにちは。水泳の河合です。


 今回は去る6月17日に制定されました「スポーツ基本法」について、これまでの経緯、これからどうなっていくのかについてお話をしたいと思います。

 

◆「制定までの紆余曲折」
 私は2008年3月に自民党のスポーツ立国調査会という場所に呼ばれ、JPC事務局長と共に国会議員の先生方に障害者スポーツの現状について選手の声をお伝えしました。
 その後、1年近い議論の後、2009年に2016年の東京オリンピック・パラリンピック招致活動にはずみをつけるべく成立を目指していました。しかし、政権交代の流れで廃案となりました。
 現在の民主党政権になってからは新しいスポーツ基本法案が作成されていきました。そのために文部科学省がスポーツ立国戦略策定のためのヒアリングというものを行い2009年4月に私は再度文部科学省の方々、副大臣、政務官の方々にお話をしてきました。
 しかし、鳩山前首相の突然の退任などにより、またもや廃案となりました。
 そのような中、本年は日本体育協会設立100周年であり、スポーツ振興法制定から50周年という日本のスポーツ界にとって記念すべき年なのです。そのようなこともあり、超党派により法案が成立したのは大きな意義があるといえると思います。

 

◆「 障害者スポーツ・パラリンピックにとってのスポーツ基本法」
 それでは成立したスポーツ基本法は障害者スポーツ・パラリンピックにとって、どのような意味があるのでしょうか。
 もっとも大きなことは法律上で障害者スポーツもスポーツであるということが規定されたことにあります。1961年のスポーツ振興法においては、障害者スポーツは含まれていなかったのです。ですから、今回の法律によって初めて障害者にもスポーツ権が付与されたことになるのです。
 また、この法案の審議過程において、「トップアスリートにはパラリンピック選手も含まれる」との答弁もあり、大きく変わったことが理解いただけると思います。
 そして、この法律が我々にも関係する条文となったことにより、様々な可能性が開かれたということでもあります。
 条文を読んでみたい方は事務局までお問い合わせください。

 

◆「今後の課題」
 それではこのスポーツ基本法が制定されたことによって、すべてがうまくいくのでしょうか?NTCの利用はできるようになったり、選手個人への強化費が支給されたりするようになるのでしょうか。
 これらを実現するためには、まだまだ時間がかかりそうです。
 すばらしい理念ができあがりましたが、現状はそれについてこられていません。我々はこのギャップを直視しつつ、具体的な解決策へと行動をおこす必要があると思います。
 先日、私とアルペンスキーの大日方副会長とで文部科学大臣に対して要望をしてきました。このような機会が生まれたのも、これまでの地道な活動の成果の1つです。我々パラリンピアンが結束していくことにより、理想と現実のギャップとを埋めていくことになると思うのです。
 文部科学大臣からも、選手たちからの積極的なアプローチを期待しているようでした。現状の課題を諦めるのではなく、みんなで力を合わせ、知恵を出し合い解決していきましょう。
 具体的にはスポーツ庁の設置に向けた話し合いの場、スポーツ推進会議、スポーツ審議会等において、我々の声をとどけていけるよう頑張っていきましょう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致活動が始まろうとしているこのタイミングを最大限に生かし、オリンピアンとも連携しながらロンドン・ソチパラリンピックに向けた環境整備に取り組んでいきましょう。
 会員の皆さんからのご意見をお待ちしています。


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≪事務局より≫

■(再掲載) 「アジアアスリートフォーラム2011」 
日時:2011年7月12日(火)14:00~17:00(受付13:15)
会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール1階「瑞光」
内容:JOCアスリート専門部会による「アスリートは何をすべきか?」を一緒に考える会です。室伏広治選手や清水宏保選手、パラリンピアンは、ライフル射撃の田口亜希選手、陸上の佐藤真海選手が登壇します。先着順ですのでお早めに。
*定員:250名(関係者100席、その他150席先着順)
*参加費無料
*プログラムは一部を除き英語にて実施されます。
(参加者には同時通訳機器を無料にてご用意致します。)

■JPC運営委員会
6月23日(木)に今年度初のJPC運営委員会が行われました。PAJからは根木、大日方の両副会長が運営委員として出席しました。来年のロンドンパラリンピックに向けての取り組み、本年度の事業計画などが話し合われました。

■都知事に2020年東京オリンピック・パラリンピック招致への立候補要請
 6月23日に日本障害者スポーツ協会は要望団体の1つとして吉田常務と陸上の土田和歌子選手が参加されました。PAJとしても独自の動きを考えていきたいと思います。

■日本障害者スポーツ協会 会長・JPC(日本パラリンピック委員会)委員長交代
 6月24日の日本障害者スポーツ協会理事会において、これまで長岐にわたり、障害者スポーツを牽引されてこられた北郷会長が退任され、鳥原光憲さんが新会長となられました。鳥原会長は東京ガス株式会社取締役会長。学生時代はサッカーに打ち込み、東京ガスのJリーグ参入に尽力されました。PAJとしても今後とも連携を強化していくためにも、できるだけ早期に面会できるようお願いをしています。

■笹川スポーツ財団シンポジウム参加者募集中!
 スポーツシンクタンクとして始動するにあたり、キックオフシンポジウム
 「日本のスポーツのこれからを考える」を開催いたします。ぜひご参加ください。
日時 7月4日(月)17:00~19:30
場所 日本財団ビル
 詳しくは
http://www.ssf.or.jp/mailmag_link/vol49_05.html

■もっと知りたい!障害者スポーツの魅力 政府インターネットテレビ
 動画がご覧いただけます。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg4981.html

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各種大会やスポーツに関するセミナーなどの情報がありましたら、事務局までお知らせください。
毎月1日・15日発行のPAJメルマガで紹介させていただきます。
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一般社団法人日本パラリンピアンズ協会
 東京都品川区上大崎3-5-1 YKビル2階 目黒しょうの治療院内
 TEL:03-6277-0160 FAX:03-5773-4747
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